ソフトウェアが農業をのみ込み始めた:業界変革に挑むIT起業家たち
http://wired.jp/2013/07/13/vol8-software-eats-agriculture/
農業のフィールドにITを導入する試みといえば、最近日本でも大手のITベンダによるプロジェクトが様々に進行中だ。「攻めの農業」はITが決め手 MSや明治大学がクラウドサービス開始
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130607/483105/
農業は生き物を使った製造業という捉え方をすれば、生産管理、コスト管理、販売管理といった、他の製造業で培われたノウハウを持ち込んでの進展を見込めるブルー・オーシャン市場かもしれない。
近未来の食糧事情とバイオ燃料の供給市場を支える農業のこれからは、限られた農地と従事者によっていかに生産性を向上するかという厳しい条件が壁のようにそそり立つ状態といっていいだろう。
特に日本では、食糧は国内での生産量を調整し外国からの輸入に大きく依存する形に移行して久しく、産業構造の変化に伴い農業従事者が減少する中で食糧自給率を再び上げるための施策を検討し始めているが具体的にどうすればよいか未だ曖昧なままだ。
こうした中、海外ではここ数年若い世代が農業に目を向け始める動きが目立ってきており、今回のようなITによる農業ビジネスの変革に目が向けられるのは時間の問題であったといえる。
私自身は農業に従事したことはないけれども、この仕事が基本的に書く工程において観測に基づく作業の積み重ねであることは想像できる。
天候、土壌の状態、作物の生育状況、家畜の健康状態など、能動的に調整はできても外部要因によって大きく影響される部分では常時モニタし続けた結果のデータの集積が次のアクションの判断基準となるはず。
こうした状況を常時監視したりデータを記録するのはコンピュータの得意とするところなので、十分に需要があるように思う。
また、農業生産における原材料、肥料、飼料や水などの管理などはお手の物で、蓄積されたデータを元にした生産スケジュールやコストのシミュレーションなども一瞬の処理で済んでしまう点はメリットを享受するべきだ。
しかし安易に何でもやればいいという話でもない。
各農業従事者が独自にシステム化を進めるのでは忽ち行き詰るのは間違いない。効率化は少なくとも自治体や地域レベルでの取り組みによる情報の横の連携が必要で、すなわちそれくらいの規模のネットワーク化による情報の連携ができる基盤を整備しつつの刷新が望まれるところだ。
その大きな単位での取りまとめを誰がするのか、また既存の自治体や農協と連携するにしても功利に傾かずに目的意識を持ってコンサルティングできる立場の人が居るだろうか。
それに、日本の場合は農業従事者は地方で且つ高齢で従事している人が少なからずいるはずで、そうした人にIT化はナレッジコストが高くなり敬遠される可能性が高い。
こうした人たちをサポートする体制なしには実現は難しいだろう。
たとえばNPOのような形の組織でなら旗振りができるだろうか、また巻き込むのは政府、企業、大学...、どういうグループになるだろう。
やるべきことと、どうやるかも解っていて、誰がやるかが抜けている。すくなくとも公的機関での旗振りでは動きが硬直化してうまくいかないだろうなと思う。。。
国家規模、地球規模の大きなレベルでの農業生産の効率化なしには食糧危機を乗りきれない時代に突入しつつあるこの時代、ITが農業に貢献できることは何かを考えること、それは私達ITに関わる者に等しく与えられた使命のようにも感じるのだ。