好き嫌い論

人に嫌われたという経験があるだろうか。
私はたぶんある。
歯切れが悪いが、ここでたぶんというのは、面と向かって嫌いだといわれたわけではないからだ。
嫌われた経験があるという人も、実際のところは面と向かって宣言されたという人はさほど多くないと思うのだが、どうだろう。
はっきりとはわからないというケースが多いのではないだろうか。
寧ろ普通に接していた人が実は自分のことをすごく嫌ってた、なんてこともあるけれど、それはダメージがきつ過ぎる。

私も多分この人は自分を嫌ってるな、と思う人はいるけど、ときにこう思う。
それだけしっかり嫌うというのは、逆に好きなのとあまり変わらないのではないか。
だから、ちょっと変わった好かれ方してると考えると何だか相手が手の内に入ったような、楽しい気分になってくる。少なくともあれこれ悩まなくていいから楽だ。
嫌われていると、相手のことは嫌な感じだなとか思うだろうけど、嫌いになるのは得策ではない。

自分のことを好きになってくれないからといって、相手を嫌う理由は何一つないからだ。
憎まれ口きくから嫌？
それくらい感情をぶつけてくる相手なら、逆に可愛くさえ思えてはこないだろうか。

なぜ好きか、どうして嫌いか、と好き嫌いの理由を述べたり述べさせたりする機会が度々あるけれど、大体好き嫌いに理由を求めることって意味があると思えない。
大体もっともらしい理由などない。

好きなもの、嫌いなものにはちゃんと理由があるという人は、よくよく考えてみてほしい。
その感情は自分自身から出ているだけなのではないか。
理由の殆どは、自分がつけているはず。
だから自分の気持ち次第だということがわかる。
つまり、そういうことなのだ。
嫌いだ、嫌だ、ムカつく、なんていう感情は自分で作り出したものに違いないから、そういものはきっぱり手放すのがいい。

そうして気持ちを解放して身軽になると、見えてくる世界が変わるかもしれない。
そしてあなたの周辺にいる人の顔ぶれも変わるかもしれない。

私自身まったくその境地に達していないが、そうありたいと思う。