Yahooで何が起きているのか

ヤフーの「在宅勤務禁止令」、本当の狙いは何か

http://wired.jp/2013/03/01/yahoo-no-work-from-home/

GoogleのエンジニアからYahooのCEOとなったマイヤーの選んだ方策としては意外だと話題になっている。
なぜなら、彼女の古巣のGoogleはこうした既成の企業の概念からはずっと先を行く先進的企業だからである。
この決定の理由は我々部外者に分かろうはずはないが、いろいろ憶測するには十分な材料を与えてくれる。

ネガティブに捉えれば、Yahooのスタッフの作業効率は信頼に足らないという判断にみえる。
在宅で仕事をするということは、確かに作業の様子は上司にも同僚にも把握できないので成果のみが評価されることとなり、チームでの作業のプロセス自体が困難な状況に陥った時にもメンバーが分散した状態で切り抜けられるかというと疑問点も多くなる。
出社して見えるところで作業することで、コミュニケーションなどの困難な課題をクリアできるし、管理する側の手間は楽になるはずだ。
管理する側の力量不足をも懸念するとすれば、それをカバーする一石二鳥の方策でもある。

情報漏洩のリスクに対する戒厳令的な究極の判断ということもあるかもしれない。
在宅勤務といっても、社内のネットワークに接続する必要があり、外部からの不正なアクセスを遮断するためにできうる限り最も堅牢なセキュリティ対策をしたネットワーク通信をしているとしても、外部との通信において100%安全ということは有り得ない。
テクノロジーの破綻よりもむしろ安易なパスワードからアカウントをすべて乗っ取られたりするヒューマンリスクがあり、これを完全に管理するのはいかにYahooといっても至難の技に違いない。
特に外部に漏れてほしくない重要なプロジェクトが進行しているのなら上層部の判断でこうしたリスクを未然に防ぐというということもあるだろう。

エンジニアに対するカンフル剤の役割を期待されているのかもしれない。
知的労働者、特にYahooなどに勤務するエンジニアはスキルも世間並以上にあればプライドも高いだろう。
君たちは特別な存在ではない　経営陣からブルーカラー並に毎朝決まった時間に出勤しなさいと通達されればプライドを傷つけられたと感じる者も多いだろうし、場合によっては辞めてしまう者もあるかもしれない。
そこから先は帰属意識の違いである。
会社の看板が必要ないと思う人たちはこういう機会に離れていくかもしれない。
あとに残るのはその会社で頑張りたいと思う”忠誠心”のある社員だけとなり、結果的にまとまりのある組織を再編成できる可能性はある。
しかし、キーマンになる人材が流出すると、会社は停滞してしまうかもしれないし、悪いケースだと潰れてしまうかもしれない。
そうした諸刃の剣としてのリスクがあるだろう。

いずれにせよ、外部から来たCEOが社運をかけた建て直しを意図してやることとなれば、既存の勢力が抵抗することは間違いない。
そうした社内でのパワーゲームが展開されている可能性だって充分にある。
それにしてもインターネット時代の幕開けの時代には数々の話題を提供したYahooもまた変化しながら今もなお次の時代への道を模索しているのだなあと思うと感慨深いものがある。