期待されるGoogleマップの産業利用:GEが契約
http://wired.jp/2013/02/21/google-maps-now-in-industrial-strength/ @wired_jpさんから
世界中の情報をすべて管理したいGoogleの戦略というのは、我々にとってはいささか不可解なものが多かった。
会社としての方針というより、賢い連中の知的な実験場の趣きがあり、どことなく行き当たりばったりな感があったのだ。
しかし、Webの検索エンジン、広告の基軸となる事業以外で世の中に最もインパクトを与えたのはやはりAndroidとGoogle Mapではないだろうか。
これらもほんの思いつきから始めたのかもしれない。
しかし、そのインパクトの大きさがじょじょに明らかになってくると、それまで行き当たりばったりに見えたのが俄然しっかりとした戦略を持ち始め る。
GEが自分で地図のシステムを作らずにGoogleの作ったものを使おうとしている意図は単に、「もう、そこにあったから」ではないかもしれな い。
GEの過去を振り返れば事業の買収、売却はお家芸なので、ここをきっかけに出資するなどして、いずれGoogleを傘下に収めようなんて野望もあ るのかもしれない。
それにしてもこの判断に結びついた伏線はやはりAppleの地図アプリの失敗にあったのではないかと勘ぐっている。
100%ではないにしても、要因の一つにはなっただろう。
AppleがGoogleの地図を使い続けることに不満を持ち、iOS6で採用を止めたためにおおいにユーザの不評を買うことになってしまったあ の一件だ。
この件によって、地図アプリなどは技術力のあるAppleのような企業にとっては脅威にはならないという奢りにも似た思いがあっさり打ち砕かれ た。
地図アプリを作ろうとすれば、地表の座標を平面に計算する処理、地図のグラフィックを滑らかに動かす技術はもちろん必要だが、
何よりも技術云々の話よりも現実的に骨が折れるのは地図データの収集のはずである。
地球上のあらゆる場所の地図のデータを集めようなんてことを本気でやろうという会社がGoogleぐらいしかなかったのかもしれないが、これはも う気の遠くなる話だ。
これを凌ぐものを短期間で作って対抗しようという挑戦は、いかに優秀なエンジニアを擁するAppleでも不可能だったのだ。
冷静に考えれば当然の話。
気合やはったりでなんとかなる世界ではない。
結果的にGoogle社のイメージは上がりより、同時に合理的な判断を他の企業にもたらすきっかけになった一件だったのではないだろうか。
ただ、やはりGEが資本を投入してこの技術を取り込みたい欲求を持っているのではないかという懸念は消えない。
トーマス・エジソンの研究室を起源とするGEは規模も経営のしたたかさでもGoogleのはるかに上を行く企業。
ゆえに、この2つの"G"が単なる強力関係に終わるかどうか気になるところだ。