「火星移住希望者の募集」正式に開始
http://wired.jp/2013/01/11/mars-astronaut-requirements/ via @wired_j
いよいよ火星への移住計画が現実化するとある。
2022年に最初の移民グループが飛び立つ予定というから、もう10年を切っている計算となるわけだ。
既に火星まで無事に人が運べて、到着した後の生活が保証できるレベルのテクノロジーはまだ開発中だろうから、この目論見通りになるかどうかはわからないが、うまくいけばこの時期に実現という”照準”に入ったということは特筆すべきだ。
ご存知のように、火星は我々によって身近な星である月とは違って独自の軌道で 太陽の回りを回っている。
ということは、すなわち地球からの距離が時期によって異なるわけだ。
最も遠いときは4億kmほど、もっとも近いときで5500万km(2003年の大接近のときで約5576万km)となる。
次の大接近の時期にあわせて最短距離の航路が取れるように軌道を計算してロ ケットを発射すれば約半年の航行で火星に到着できることになる。
32年間に15年、17年の2回の周期で接近するということなので、移住もこの周期に合わせた発射になるだろう。
半年の宇宙での移動に耐えうる身体能力と精神力を持つ年代となると、20代~50代くらいに絞られそうだし、この間に3回チャンスがあればラッキーという風に、おそらくいくら移住を希望していても一生にそう何度ものチャンスはなさそうだ。
さて、着いてからの火星での生活環境についてはどうなのだろう。
火星地表には水はなく、大気は地球に比べてごく薄い。大気の割合として二酸化炭素が極端に多いのだけれど、この環境から地球人が正則可能なレベル の酸素 と水を作り出す技術を生み出す必要がある。
気温も-40℃より低く、温度の調節もよく考慮しなければいけない。
そして、これらの仕掛けを動かすためにどうやってエネルギーを得るか、そこの所などは専門家の間でも「これでいける」という決定版はまだないのではないだろうか。
個人的には、月がない環境での人間を始めとする生物の生き方というのはどうなるのだろうと思っている。
月の引力による人体への影響がいかなるものなのか、月のない状態でしか判らないものだと思うが、意外にクリティカルな問題があるのではないかと思うのだ。
宇宙空間で長時間過ごした体験のある人はまだ絶対数が少ないので、現段階 では調査サンプルにはなりにくいはずだ。
そうした問題山積みの状況でこれだけの大プロジェクトを動かそうというのは無謀にも思える。しかし、我々人類が地球を汚した挙句、自分たちの手で新たな居住地を開拓するべきと考えての次の一手と考えた場合にはずいぶんのんびりした計画にも感じる。このあたりの判断は個人の考え方にもよるだ ろう。
そして、我々テクノロジーの民は一足飛びに宇宙を飛び交う通信インフラについて思いを馳せてしまう。
地球にほど近い場所との通信はこれまでも実績があるが、火星までとなると話は 変わってくるだろう。どうやってそのような遠方に電波を送るというのだろうか。
地球・火星の間になる太陽系のあちこちに太陽エネルギーで永久に稼動する通信 衛星を無数に置いていくくらいしか思い浮かばないが、一体どれほどの数の衛星が必要になるのか見当もつかない。
「火星なう。」
などと、火星在住の人とネット上で対談する日なんてのがいずれ来るのだろうか。
その時、地球はどうなってるかな。